レアアース問題が、いよいよ深刻な局面を迎えつつある。
レアアース(希土類元素)とは、17種類の金属元素の総称である。最大の課題は、高品位の鉱床が限られているうえ、精製にも高度な技術とコストを要することだ。現在、その採掘・精製において中国が圧倒的なシェアを占めており、日本はその大半を中国からの輸入に依存している。
レアアースは、電気自動車(EV)、スマートフォン、パソコン、風力発電設備、半導体、防衛装備品など、幅広い産業に不可欠な素材であり、その安定調達は日本経済全体を左右する重要な課題である。
高市総理による台湾問題を巡る発言以降、日中関係は急速に悪化した。中国はレアアースの対日輸出に関する審査を厳格化し、輸出の停滞が続いているとされる。その結果、日本における輸入量は減少傾向にある。一方で、高市総理は自身の発言を修正する姿勢を示しておらず、現時点では事態打開の見通しは立っていない。
国内企業は一定の在庫を確保しているものの、一部では9月頃にも在庫が危険水準に達する可能性があるとの見方も出ている。しかし、政府はこの問題についてほとんど説明を行っておらず、危機感を共有しようとする姿勢も見えてこない。
昨日の総理記者会見でも、総理は政権運営の成果を強調する発言に終始し、レアアース問題には一切言及しなかった。自身の発言がきっかけとなって多くの企業が深刻な影響を受ける可能性が指摘されているにもかかわらず、この重要課題について説明責任を果たそうとしない姿勢には、大きな疑問を抱かざるを得ない。
すでに、レアアースの供給が途絶えた場合、日本のGDPが大幅に押し下げられるとの試算も報じられている。現在の最大の課題は、高市内閣による対中外交の行き詰まりをいかに打開するかである。政府は自らの責任において、レアアースの安定調達に向け、あらゆる外交的・経済的手段を講じるべきだ。官邸主導で、政府に都合よく用意された原稿を読み上げるのではなく、総理には国益を守るための具体的な行動が求められている。