なぜAIのトップ研究者に、中国出身者がこれほど多いのか。
Metaの新しいAIチームを調べていて、かなり気になりました。
MSL立ち上げ時の主要スター採用11人のうち、少なくとも7人が中国本土の大学出身。
清華大、北京大、中国科学技術大、浙江大など。
しかもMetaだけではありません。
MacroPoloの調査では、世界トップAI研究者の学部教育国は、
中国:47%
米国:18%
インド:5%
※国籍ではなく、学部教育をどこで受けたかです。
最初は、
「中国の猛烈な受験競争が、数学力を必要とするAI時代にハマった」
くらいに考えていました。
でも調べていくと、その後のキャリアがかなり特徴的でした。
典型的なのが、
清華・北京大など中国トップ大学
↓
Stanford / MIT / Berkeley / CMUなどでPhD
↓
OpenAI / Google DeepMind
↓
MetaなどのFrontier AI企業
という黄金ルート。
数字を見ると、このパイプの太さがよく分かります。
2023/24年度に米国で学んでいた学生は、
インド:約33.2万人
中国:約27.7万人
日本:約1.4万人
2024年に米国で研究博士号を取得した一時ビザ保有者は、
中国:6,756人
インド:2,649人
日本:138人
ここだけ見ると、
「日本人も意外にPhDを取ってるじゃん」
と思った。
でも中身を見ると、かなり衝撃的でした。
2001〜2020年に米国でComputer ScienceのPhDを取った人数は、
中国:6,408人
インド:2,956人
日本:84人
日本は20年間で84人。
年間平均わずか4人程度です。
一方、日本人が多かったのは、
Social Sciences:1,125人
Non-S&E:1,021人
Engineering:479人
Physical Sciences:353人
Math:96人
日本人は米国の大学院に行かなかったわけではない。
世界の産業競争力を決めるCSや理系研究へ、トップ人材を十分送り込めていなかった。
これはかなり大きな教育戦略の失敗だったと思います。
社会科学や人文学が不要という話ではありません。
ただ、世界の産業構造がSoftware、Internet、そしてAIへ移っていった20年間に、
世界最高峰のCS・数学・Engineering研究者を作ることへの人材配分が弱すぎた。
しかも卒業後も差があります。
米国でScience & EngineeringのPhDを取った人の米国残留率は、
中国:約87%
インド:約84%
日本:約47%
中国人やインド人は、そのままGoogle、Meta、OpenAIなど世界最高峰の研究環境に残る。
日本人は半分以上が米国を離れる。
これが20年、30年積み上がれば、とんでもない差になります。
インドも面白い。
現在、米国留学生数では中国を抜いて世界1位で、米国PhDも年間2,600人以上。
だから中国との違いは、
「米国へ行くか」ではなく、
そこからResearch、さらにFrontier AIへどこまで集中するか。
中国はこのパイプが圧倒的に太かった。
では日本はどうすべきか。
僕は「AIを使える人を100万人作る」だけでは全然足りないと思っています。
それとは別に、
世界トップ0.01%の研究者を作る国家戦略
が必要です。
数学、CS、Engineering、Physicsのトップ層を高校・大学の段階から見つける。
毎年100人、200人でもいい。
Stanford、MIT、Berkeley、CMUなど世界最高峰のPhDへ、学費も生活費も国が全部出して送り込む。
そして、
卒業したらすぐ日本へ帰ってこい、と言わない。
OpenAIでもMetaでもAnthropicでもGoogle DeepMindでもいい。
5年でも10年でも世界最先端で働き、
フロンティアモデルをゼロから作る。
巨大GPUクラスタを動かす。
世界トップの研究者と競争する。
そういう経験を持つ日本人を、100人、1,000人単位で作る。
中国を見て分かるのは、
優秀な18歳を作るだけでは足りない。
その人を世界最高峰の30歳の研究者まで育てるパイプラインが必要
ということだと思います。
そして、この人材自体が国家競争力の中心になれば、次に起きることも見えてきます。
半導体を止める。
GPUを止める。
最先端モデルを止める。
その次は、
「その技術を作れる人間」を止める。
半導体戦争の次は、人材戦争になる。
次はここを掘ります
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